妙心寺について

宗議会非戦と平和の宣言文

先の米国同時多発テロにより行方不明者を含み五千余名の死傷者を出すという未曾有の惨事を目のあたりにして、テロ行為者に対する強い怒りと犠牲者に対して深い悲しみを表明するものであります。

衲等、ここに犠牲となられた方々のご冥福と身心に深い傷を負われた方々の快復の一日も早からんことを願うのみであります。

いかなる事由があろうとも人間の生命の尊厳を無慈悲に踏みにじる行為は許さるべくもなく、被害者(国)の怒りと悲しみは察して余りあるものがあります。しかしながら正義の名のもとに報復することは、自らをおとしめる結果になりかねません。テロというこの人類の卑劣な犯罪と悲劇を終焉させるためには、二十一世紀を共に生きる人間としての道義と釈尊の悟られた叡智を以って、根本的な解決を図らねば、憎悪や恐怖の連鎖を断ち切ることは望むべくもありません。米国は今日のテロをニューウォー(新しいかたちの戦争)と表現し、また、報復の目標とされている国は、これをジハード(聖戦)と称し、受けて立つことを表明しています。この様な状況の中で宗門人として、対話と相互理解を深めることを内外にアピールし、生命の大切さを守り抜く決意をすべきであります。

かえりみますと、かつて我が国も聖戦の名のもとに戦争を遂行し、彼我各国に多大の苦痛と損害を与え、たとえ国策とはいえ結果として、戦時の高揚した国民感情の中で、我が宗門が砥柱のごとく反戦を貫くことが出来得ず協力して来たことに対し誠に遺憾に思うものであります。まずこの過去の過ちに対する懺悔と反省の上に立って、諸民族の多様な生活や価値感、信条、宗教を尊重しつつ、日々の教化活動において我が禅門の宗旨を宣揚し、世界の平和のために一層努力しなければなりません。また、先般ハンセン病国家賠償訴訟原告勝訴の判決を受けて、政府は控訴を断念し、元患者への賠償金支給や名誉回復を図り、福祉増進等の保障措置を成立させ新しい局面を迎えつつあります。

宗門として今日まで元患者の苦しみと心を一つにすることもなく、過去の国策による強制隔離のため誤った認識や偏見によって、その悲惨な生活を看過してきたことを懺悔し、お詫び申し上げるものであります。

いずれにしても悲惨な人生を送り、不条理な死を余儀なくされる人が、この地球上に一人たりとも存在することのないよう釈尊の御心を体して、宗門人一人一人がこれを主体的に受けとめて実践することができるようここに決意し、宣言する。

2001年(平成13年)9月27日
臨済宗妙心寺派 第一〇〇次定期宗議会