禅の教え

管長あいさつ

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 この度、妙心寺派管長を拝命致しました山川宗玄でございます。

 皆様方のご法愛を賜り無事この大役を果たせますよう精進努力致す所存でございます。

 私は雲水時代、当時の妙心寺派管長でありました梶浦逸外老大師の隠侍として、妙心寺にいた時期がございます。逸外老師の食事のお世話をさせていただいたり、時には運転手をしたりと、管長時代の老師に二年程仕えました。今思えば、本当に貴重な時間を過ごさせていただいたと、感謝しております。

 逸外老師は信者さんにいつも同じ話をされました。一つはお母さんの話です。ご自身が出家された時、お母さんからいただいた有難いお言葉のこと、そしてその言葉を終生大切にされたことです。そしてもう一つは、管長さんになるためのお話です。信者さん達に、どうしたら管長になれるか分かるかね、と聞かれるのです。皆さん首を傾げ、誰もがわかりませんと答えます。そこで逸外老師は、そんなこと簡単さ、一生雲水をやめなければいいんじゃよ、と答えておられました。

 逸外老師からは本当に色んなことを毎日のように学ばせていただきました。また、時にはお客様の前で、こっぴどく叱られたこともあります。しかし、私が今日まで一雲水として、つまり修行者として歩み続けられたのも、その薫陶があったからこそと、心より感謝しております。

 今こうして管長職を拝命し、当時の自分とは逆の立場から周りを見渡しますと、逸外老師の御心が少しはわかってきたかなと思います。ならばこそ、私は逸外老師より受けた御恩を少しでも皆様にお返しできるよう勤めてまいります。何卒よろしくお願いいたします。

 

令和6年4月1日

妙心寺派管長 霧隠軒 山川宗玄 合掌

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