令和7年度「御詠歌がつないだ縁」
『御詠歌がつないだ縁』
都竹 隆雄
私が御詠歌を始めて、気がつけば約35年が過ぎました。これまで自支部、天籟会、青鳳会、様々な講習会などを通じて、たくさんの有難いご縁を結ばせていただきました。
さて、その中で「御詠歌を通して繋がった方」として紹介するなら、私が御詠歌を始めるきっかけを作ってくださった現副詠鑑の藤方易宗師ではないかと思っております。
師との出会いは私が花園禅塾に入塾した時、指導員として在任されていたのが最初です。
卒塾したある日、師から食事に誘われ、楽しみにして行ってみると、何故か御詠歌の入会に変わっていました。驚くままに気がつけば、御詠歌道具一式を揃え、天祥院の山門をくぐっておりました。合わせて花園大学に師同伴で赴いて、教授に顧問になっていただき、私が会長となって現在の「天籟会」が発足しました。意外と知られていませんが、当時の天籟会は大学公認の学生サークルであり、師と3回生2名、2回生3名、1回生2名の合計8名でのスタートとなりました。釋厚子先生からご指導をいただき、その年の全国大会で初登壇するまでになりました。大会前に今は無き教化センター三階で、深夜まで師から「妙心寺開山忌御和讃」の猛特訓がありました。あの時は涙し、心折れそうでしたが、今は良い思い出になっています。
自坊に帰ってから自支部を立ち上げ、それによって妻との出会いを始め、たくさんの有り難いご縁をいただきました。また青鳳会や岐阜東教区の御詠歌活動に携わらせていただき、現在は準師範を務めさせていただくまでになりました。全てはあの時、あの瞬間に藤方師に誘われたのが始まりです。
皆さまも是非、御詠歌を通じて素敵なご縁が得られますよう、祈念申し上げます。
『御詠歌がつないだ縁』
恵良真由美
平成18年12月8日(成道会)、I先生が突然お亡くなりになりました。永きにわたり御詠歌を愛し、十数支部のご指導をされていたI先生。深い悲しみとI先生亡き後どうすればよいのか不安で頭が真っ白になりました。そんな中、ご縁を頂いたのがK先生でした。遠路の為、1年に1度、部の奉詠大会にお出掛けいただくことになりました。最初は会場全体が緊張しているような空気でしたが、たちまちのうちに和やかな雰囲気となり“これはK先生マジック⁈”と驚きを感じました。
K先生のご指導は正確で、細部にわたりとても丁寧でした。又、それぞれの御詠歌を受け止めてくださった上で、丸くしなやかに、そして温かく教えてくださいました。K先生滞在中は、夜も寺庭婦人の勉強会をお願いしました。K先生を囲み皆で食事をいただき乍ら談笑し、その後は集中して課題曲や所作等のお稽古。私にとっても大変貴重な限られた時間でしたので、大会休憩時のベンチやお見送りの際のバス停、空港内等々何時でも何処でもそこがお稽古の場となり、何度も何度も繰り返しご教授いただきました。
その後、私が現称号を取得すると「これからも頑張ってね!」とお声を残され、正に「立つ鳥跡を濁さず」の如し。とても潔く、すっきりとしたK先生の姿勢そのものでした。御詠歌だけでなく人の道をもお示し頂いたと感じ入りました。現在もK先生はお変わりなく、ご自坊でのお稽古を楽しまれておられると伺いました。I先生からK先生へつながれた有り難いご縁。両先生に近づくことは難しいですが、先生方の背中を追う気持ちで私なりに少しずつ歩を進めていきたいと思っております。