法話の窓

090 信じること

 みなさん、友だちは多ぜいいますか? たくさんの友だちがいることは嬉しいことです。では、親友と呼べる人は何人いますか? なんでも話せる大切な人がいるといいですね。しかし、真の友だちとなると、なかなかできそうでできないものです。なぜでしょうか?

真の友だちに出会えないという人もいます。でも、原因は自分にあるのかも・・・ 問題は、相手をどれだけ信用できるかが大切なことだと思います。

 相手を信じることができないと、よい関係を結ぶことはできません。おそらく相手も自分を信じてくれない。つまり、自分がまわりの人に対して抱いている思いの分だけしか、相手は自分のことを思ってくれません。まさに、人は鏡に映った自己の姿そのものと考えることができます。

 たとえば、誰かに「どうも虫が好かん」という感情をもつのは、それは自分で自分の嫌なところを相手に映して見ているからではないでしょうか。

 『仏教聖典(仏教伝道協会)』に次の一節があります・・・

 

親しむべき友とは、ほんとうに助けになる人、苦楽をともにする人、
忠言を惜しまない人、同情心の深い人である。
ふまじめにならないよう注意を与え、陰に回って心配をし、
災難にあったときには慰め、必要なときには助力を惜しまず、
秘密をあばかず、常に正しい方向へ導いてくれる人は、親しみ仕えるべき友である。
自らこのような友を得ることは容易ではないが、また、自分もこのような友になるように心がけなければならない。
よい人は、その正しい行ないゆえに、世間において、太陽のように輝く

 

 自分が人にとって、本当によい友だちかどうか反省したくなるのは、私だけではないでしょう。人が信用できないというのは、おそらく自分自身を信用していないからかもしれません。

 仲のよい友だちならすぐにできるでしょう。同じ価値観を持つ者どうしなら、馬が合うでしょうし、自然に集まってくるものです。そういう中で、異なった価値観や個性が真剣にぶつかり合うことで、人間的な成長を見ることができ、心から相手を理解できていくのではないでしょうか。

 まず、自分を信じ、そして友だちを信じましょう。素敵な親友になる人が、たくさん待っていてくれます。そのことを信じ、勇気を出してあなたの方から接していきましょう。

 太陽のように輝くお互いでありたいものです。

武久寛海

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