法話の窓

056 お坊さんになろう

 私は、一般の家から決心して、禅宗のお坊さんになりました。
 始めは、分からない事もたくさんあったけれど、少しずつ慣れて何とか、お坊さんの仕事や働きができるようになりました。
 みんなもお坊さんにならない?お坊さんになるといいよ。

一つには、心が自由になる。本当の自分に目覚めて、真実の人生を無駄なく暮らせる。
二つには、体と心がリラックスして、健康で長生きの生活を送れる。
三つには、社会の人に働きかけて、世の中や人のためになるよ。

 私は、お坊さんになろうと思った時にいろいろな宗派や宗教に行ってみました。キリスト教も行ったよ。浄土宗や日蓮宗、真言宗、その他いろいろと。でも、今思うのは、禅宗がいい。禅宗でも臨済宗がいいと思う。私は、臨済宗のお坊さんになって正解だったと思う。

 自分が心の中から納得して、なって良かったと思えるのは、今の臨済宗のお坊さんだった。それぞれの宗派や宗教に良い点と悪い点があるんだけど、臨済宗は、自由でおっとりした私には良かったよ。

 でも、お坊さんになろうとする時に、一番問題になるのは、修行の事だね。厳しい修行をする事で禅宗は有名だから。でも、体も弱かったこんな私でも耐えることができた。つらい時もあるけれど勉強でもバイトでも、スポーツでも一緒だよ。その時はつらい事もあるけれど、それを越してしまうと、何か爽快な気持ちになれる。こんな私が耐えられたから、たいがいの人は耐えられるよ。

 もう一つ気になるのは、衣やツルツルの頭だね。でも、衣や着物の着方は慣れると簡単だよ。落語や旅館の仕事の人、お芝居の人も軽々と着こなしているでしょう。頭を剃髪することは、始め少し恥ずかしいかも知れないが、この頃は、スキンヘッドの人も多いように、慣れると気持ちがとってもいいよ。

 もちろん、私もお坊さんになるまで、修行も衣も剃髪も知りませんでした。まして、私の家は、浄土宗という宗旨で臨済宗では無かったのです。始めは知らない事ばかりで戸惑う時期もあるけれど、着物を着て、衣を着けると、あー昔の人は、いつもこんなの着ていたんだなぁと、初めて分かりました。頭は、冬は寒い時もあるけれど、夏はめちゃくちゃ気持ちいいよ。

 じゃ、禅宗の、特に臨済宗のお坊さんになるにはどうしたらいいのかと言うと、住んでいる近くのお寺に行って、そこのご住職に相談するといい。注意するのは、そこのお寺が何宗か?という事をよく事前に調べよう。禅宗も中は、三種類に分かれていて、臨済宗はその一つだよ。

 でも、まだ中学や高校の人は、まず自分の学校の勉強を大切にして、しっかりやろう。その中でお坊さんになりたいなぁと、思ったら、臨済宗には大学もあるし、高卒でお坊さんになる事もできます。友達にお寺の子がいたら、聞いてみるのもいいね。

 もっともっと詳しい事が知りたいと思う人は、本もあるけど大本山妙心寺に電話して、聞いてみるのもいいかも。また、近くで坐禅会をしているお寺に参加して、修行を味わうのもいいかも。
 お坊さんの中には、お寺で生まれた人と一般の家で生まれた人とがいます。みんな平等で同じく修行して、お坊さんになります。

 仏教は、お釈迦さまが開いた尊い教えの宗教ですが、それは今も世の中や人の心の中、日本の文化の中に生きています。
 もし、仏教に、そして禅に興味があれば、将来お坊さんになって私たちと心豊かな世界を作りましょう。くじけそうな時やつらい時もお師匠さまや仲間、そして仏さまが助けてくれる。そう信じ、そうなって、私は今までお坊さんを続けることができました。

 西遊記の孫悟空のようにわがままで慌て者、なまけものでしたが少しずつ本当のお坊さんに近づきつつあるように思います。
 若い時は、将来の仕事にいろんな夢を持つけれど、もし興味があるようだったら、お坊さんになろうよ。禅宗の、臨済宗のね。一度しかない人生、価値ある生き方をしたいね。お坊さんになろう。

谷 玄康

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