法話の窓

050 ゲームは集中力を高める?

 みなさん、あけましておめでとう!お正月は花札、トランプいろいろあるけど、テレビ・ゲームは好きかな?瞬間のスリルを味わったり、次々と高度なテクをくり出す指使いとか、ゲームは集中力を高める感じがするしね。

 でも、ほんとうは違うらしい。「ゲーム脳」て言葉があるんだけど、テレビ・ゲームを小さい頃から毎日のようにやってきた人の脳は、脳波がすっかり変ってしまう。ちょうど痴呆症(認知症)のお年寄り患者のようになってしまって、重症だとゲームしていないときもそのまま直らないらしい。人のおでこには脳の35%を占める「前頭前野(ぜんとうぜんや)」って部分があるけど、動物にはほとんどないんだ。じつはゲームをしている最中は、目から入った情報が、ここを通らないで、直接指のボタン操作に伝わってしまう。だから前頭前野が「シカト」された状態が癖になってしまうって訳だね。すると判断力や記憶力、集中力が低下して、自分から何かしようとする気持ちが衰えて、何事にも無関心になってしまう。また周りの状況を無視して自分勝手な態度や非常識・暴力的な性格になることがわかってきたんだ。もちろん、全部がゲームのせいじゃないだろうけど、やりすぎは確かに「キレやすい」原因になるってことは、科学的にも証明されてきているんだね。

 昔「禅」を研究した西田幾多郎先生(にしだ きたろう)の有名な言葉に「わが心 ふかき底あり よろこびも 憂い(悲しみ、嘆き)の波も 届かじとおもう」がある。ふだん私達はうれしいこと、辛いこと、苦しいこと、「ムカツク」こと、いろんな感情に心が波立っているよね。でも、仏教ではそうした心の奥底に、澄み切ったきれいなこころがあって、このこころとしっかり向き合うことが大切なんだ。ほんとうの自分はどうしたいのか、どうすべきなのかを、人に聞くんじゃない。自分の中にこたえがあるんだ。一時の感情や衝動に振り回されない、すばらしい判断力や智慧(知性)のO・Sがもともと自分の心の奥底に生まれながらに組み込まれているってことだね。せっかくの新しい一年の始めだ。ぜひ、こっちのO・Sも使いこなせるようにガンバッテみよう!

梅澤徹玄

ページの先頭へ