法話の窓

040 いのちのまつり

 長崎県の草場一寿さんは、県内で起きたとある事件をきっかけに「いのち」の大切さを子ども達に伝えていかなければならいと思い、【いのちのまつり―「ヌチヌグスージ」】という本を自費出版されました。

 物語は沖縄を訪れた男の子「こうちゃん」が、ご先祖様を敬い、命のお祭りをしている沖縄の人たちに出会います。その中の一人オバアに、こうちゃんが生まれてくるまでに、いったい何人のご先祖様が命を与えてくれたのかを問います。オバアは宇宙の始まりから命は続いていて、またこうちゃんにも子供が産まれたら、自分もご先祖様になるんだとよ、と命の永遠を教えてくれます。

 この本はたいへんな人気となり、現在は出版社から発行されるようになりました。

 この図を見てください。この図はあなたの「いのちのまつり」をツリーにしてみました。あなた一人が生まれるためにはおじいちゃんの代まで遡ると、6人必要になりますね。一代25年という計算でも、この50年間に6人の人々が生を受け、そして縁があり結ばれる。その結果、「わたし」という尊いたったひとりの人間が生まれてきたのです。1980年代に、アメリカの映画監督スティーブン・スピルバーグが創った「バック・トゥー・ザ・フューチャー」という映画の一シーンには、過去へ戻った主人公に自分の母親が恋をしてしまいます。すると兄弟はおろか自分自身が消えかけてしまうという場面がありました。それと同じ理由で、このツリーの中の一人でも居なくなればあなた自身の存在が無くなってしまうこともお解りですね。

 「私がいきる」ってことは「いのちのまつり」をすることなんです。亡くなった人の供養は「いのちのまつり」をすることなんです。お盆が近づきました。わたしたち一人ひとりのいのちを見つめてみましょう。

上沼雅龍

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