法話の窓

【一滴水】新年おめでとうございます。(2013/01)

 新しい年になると誰しも、その年がどんな年になるのかと、思いを巡らせ「今年こそは最良の年であってほしい」という願いは皆共通ではないでしょうか。
 ある生活総合研究所が、アンケートの中で「見えないけれど、見たいものは何ですか」と設問したところ、奇抜でおもしろい回答も数々あったなかで、意外にも多くあったのが、「他人から見た自分」だそうで、これも複雑な社会での気配りなのでしょうか。
 そして、老・若年にかかわらず一番多かったのが「将来の自分」と答えた人だそうで、若い人は就職の不安を感じ、高齢者なりに老いることへの不安を象徴しているのかもしれません。
 そんな時代こそ、新年を迎えて「一年の計は元旦にあり」で、新たな気持ちを大切にしたいものです。
 正月三日間は「修正会(しゅうしょうえ)」と言って、どこの寺院も一年間のご祈祷をしますが、一般的には修正(しゅうせい)と読み、まちがいを修正して正しく生きることであり、一月のことを仏教の読み方に合わせて正月というのも、そうした深い意味が込められているのです。
 新たとは「洗った」から変化した言葉のようですが、心を洗って新しい年を迎えるという決意の月が正月なのです。
 そうした初めの心がけを、いつまでも忘れずに保ち続けてこそ、道は開かれるものですが、そのところを「平常心(びょうじょうしん)是(こ)れ道(どう)」と教えています。

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

    年をとることは いいことだ
    とってみなければ
    わからない 世界が開けていく
    とくに 今年は
    何だか すべてが 新鮮だ

                   「坂村真民」

 

田尻和光

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