法話の窓

【法悦】花まつり お釈迦さまのご誕生(2011/04)

  真理(まこと)の水を飲むものは
  清らかなる意(おもひ)もて 心よく眠らん
  かつる聖者(ひと)こそ
  聖者(ひじり)の説ける 法(のり)の中に
  つねに心たのしむ                      法句経

 

 お釈迦さまは二千五百年前、四月八日ヒマラヤ山麓の釈迦族の国の花咲くルンビニ園にて御誕生されました。お父さまを浄飯大王(じょうぼんだいおう)、お母さまを摩耶夫人(まやふじん)と申し上げます。

 お母さまの摩耶夫人が、当時の習慣に従ってご出産の為郷里の隣国に帰られる途中、ルンビニ園で休息されました。摩耶夫人が折しも咲きほこっていた無憂花の花を摘まれようとした時、お釈迦さまがご誕生されました。天の龍王はお釈迦さまのご誕生を祝して、甘露の法雨を降らして玉体を洗いました。
 体を清められましたお釈迦さまは東西南北に七歩歩いて右手で天を指し、左手で地を指し、『天上天下 唯我独尊』と言われました。このお釈迦さまのお姿が誕生仏でありす。花咲くルンビニ園が花御堂であり、甘露の法雨が産湯の甘茶であります。
 お釈迦さまのご誕生は、仏教、仏さまの教えの出発点であります。天と地を指す『天上天下 唯我独尊』のお釈迦さまの御誕生の御宣言は、渾身の力をこめた天地一杯の「オギャー」のお釈迦さまの呱々の産声を教えとして表現したものであります。天上天下 唯我独尊は、あめつちの中、唯一つのかけがえのない尊い生命の叫びであり、宣言であります。
 このお釈迦さまのご誕生のご宣言は、この世に生をうけたすべての人々の生命の尊さの宣言であります。天と地を指さす仏はわがいのちの象徴であります。
 四月八日花御堂を飾り、誕生仏に甘茶をそそいでお釈迦さまの御誕生を祝福すると共に、私達がこの世に生を受けた喜び、いのちの尊さを改めて自覚することが、お釈迦さまのご誕生のご縁にめぐりあった喜びであります。
  生れませる み仏は わが光

尾関義昭

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