法話の窓

こんにちは さようなら

朝夕の寒さも穏やかになった今日この頃、花のたよりも聞かれるようになりました。春の花といえば何よりも桜の花が思い浮かびますが、桜の花見も運よく満開の時に出来るとは限りません。「ちょっと早かったなあ」とか「少し遅かったなあ」と言いながら、そんなことも忘れて宴を盛り上げるのもいいものです。
またこの時期は入学式、入社式と、新しい人との出会いが始まる時期でもあります。いい人と出会ったなあ、とか、あの人は苦手だなあとか様々な考えがうかぶことでしょう。しかし出会った人とこの先、一緒にやっていかなければなりません。
歌にもあるように
「♪さよならは別れの 言葉じゃなくて 再び逢うまでの 遠い約束♪」
だそうです。この歌詞を反対にしますと、
「♪こんにちはは出会いの言葉じゃなくて 再び別れるまでの 遠い約束♪」
となります。
そうです、私たちは、この人は良い人だから一生一緒にいようと思っていても、いつか必ず別れが訪れるのです。
その苦しみを仏教では四苦八苦の一つに数え『愛別離苦』と言います。

小生、先日、孫に恵まれました。孫は子どもより可愛いと他人から聞いたことがあります。確かにそのとおり、大声で泣いても涎を垂らしても、くしゃみをして鼻を垂らしても、怒ることなど、さらさらありません。後でニコッと笑ってくれるものなら嬉しくてたまりません。こんな可愛い孫とも別れなければならないことは確かです。
別れなければならないことが分かっているのならば別れる前にできることを精一杯していかなければなりません。そうです、今やらなければならないことを今精一杯していくことが大切です。永遠ということはありません。今、この時にやらなければならないことを精一杯することが、この先自分の人生を、より良い人生にすることにつながるでしょう。

 

高田慈雲

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