法話の窓

082 鯉のぼりは一生懸命

 5月5日はこどもの日、端午の節句です。
皆さんが健やかに育たれるのを願い、命を守る鎧兜(よろいかぶと)など5月飾りをして、祝う日です。
また、町のあちらこちらに鯉のぼりがあがり春風になびき、まさしく、
屋根より高いこいのぼり・・・
と、口ずさみたくなるようです。

 和尚さんの町にも、たくさんの鯉のぼりが上げられていますが、中でもひときわ気になる鯉があるのです。
その鯉は朝早くから空を泳ぎ、通学の皆を「いってらっしゃーい」と元気に見送るのです。
しかし、雲行きが怪しくなるといち早く隠れるのです。
そして、雨があがるといち早く空に戻ってくるのです。
それはみごとに難を避けて泳ぐのです。

 いったいどの様な人が操っているのか気になります。

 出会ってみるとごく普通のおじいさんでした。
よほど大切な鯉のぼりなのですね。と言うと、
「いいえ、どこにでもある普通の鯉のぼりですよ」
さらに、
「鯉のぼりが大切なのではなくて、孫が可愛くて大切でたまらないので、孫の鯉のぼりが気になってしまうのですよ。」とにこやかに。

 皆さんも生きていくなかで、楽しいことやうれしいことなどいっぱいあると思います。
でも、辛いことや、悲しいこともいっぱいあると思います。
また、叱られたり、思いがいき違ったりで自分は一人ぼっちだと思う事もあるかもしれません。
しかし、あなたのために鯉のぼりを一生懸命泳がせていてくれる人が必ず、
絶対にいるのです。
そんな、大切な人を思い出して見てください。

居相哲昭

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