法話の窓

078 おかげさまです ありがとう ♪

 私のお寺の近くにある通学路の交差点ではそこを通るたびに、朝ひとりの男の人が交通安全の旗を持って立っているのを見かけます。その人は毎日、毎朝同じ時間に立っておられるそうで、街の子供たちが元気に学校に通っているのを見るたびに「あの男の人のおかげだなあ」とつくづくと感じます。

 みなさんは「おかげさま」という言葉を聞いたことはありますか?
 「かげ」という言葉の意味の一つに「表面に現れないもの」という意味があります。
自分の知っている人だけではなく、表面に現れない、目に見えない様々な人や物のお世話になっていることに「さま」をつけて「おかげさま」といいます。

例えば、今日の一日のことを少し振り返ってみて下さい。
「朝ごはんを食べることが出来たのは誰のおかげ」
「安全に学校に行けたのは誰のおかげ」
「楽しくみんなでサッカーが出来たのは誰のおかげ」
「毎日、元気でいられるのは誰のおかげ」
誰のおかげかな?考えてみよう!

 朝早く、みんなが寝ている間に朝ごはんを作ってくれたお母さん。食事で食べるお米やお野菜を作ってくださった目に見えない人。学校の給食をおいしく食べてもらえるように、毎日一生懸命になって作ってくれる人。自分に、大切ないのちを与えてくれた両親や、目に見えないご先祖さま。

 目に見える人だけではなく、見えない「かげ」のちからによっても、自分は支えられていることに気付いたかな? 
「そうか、わたしが生きているのは、世の中のみんなのおかげなんだ!」そのことに気付くことができたら、その感謝の気持ちをまずは、周りの人びとにお返ししてみよう。

「ありがとう」と笑顔で心を込めて言うのもいいかな。そうすることで、感謝の気持ちが周りの人に伝わり、みんなの心があたたかくなると思います。

最後に妙心寺の「おかげさまの歌」の一部を紹介します。


おとうさん おかあさんの おかげです ♪
やさしい先生のおかげです
友だち皆の おかげさま
社会で働く 皆さまの
おかげさまです ありがとう ♪

お米や 野菜のおかげやら ♪
着物や お靴の おかげです
友だち皆の おかげさま
社会で働く 皆さまの
おかげさまです ありがとう ♪

西川知孝

ページの先頭へ