法話の窓

067 ほとけ様と遊ぶ

 私のお寺では毎年夏になると、青空子供会の夏合宿をします。一晩お寺に泊まり、いろんなことをします。今年で23回目になりました。だいたい40名ぐらいの子ども達がやってきます。お寺にとまるのは、ほとけ様と遊ぶことだと思っています。
 では小学5年生の金子芹加(せりか)さんの感想をのせてみましょう。このなかで二つだけ、かんたんにお話をいたします。

 

青空子供会の感想

 一日目の、おしゃか様をうつすのがむずかしかった。
 交流会で、「ほほえみの会」の人たちといっしょにキャンプファイヤーをかこんで楽しかった。
 花火はいろいろなものがあって、楽しかった。きもだめしは、少しこわくて、びっくりした。ドッジボールはすぐにあたってしまってつまらなかった。ごはんは、どれもとてもおいしかった。夜はあまりねむれなかった。
 また青空子供会に参加したい。

 

 まず一つ目です。はじめの感想のところに「おしゃか様をうつす」とありますが、むずかしくいうと、これを写仏(しゃぶつ)といいます。
 おしゃか様の絵があって、その上にとうめいなうすい紙がしいてあります。下の絵にそって、上のうすい紙に筆や鉛筆でなぞって絵をうつすのです。子供会では鉛筆でなぞるのですが、みんないっしょうけんめいうつします。保育園の年長さんもうつします。
 汗を流しながら、おしゃか様といっしょになれる時です。
 お経のなかに、「子どもが、いたずらに棒(ぼう)で地面にほとけ様の絵をかいただけでもすばらしいことだ」とあります。ですから、おしゃか様の絵をうつしている子ども達の目が輝いて、私には見えるのです。

 二番目に「交流会で、『ほほえみの会』の人たちとキャンプファイヤーをかこんで楽しかった」とあります。
 この「ほほえみの会」とは障害のある人たちが作っている会で、この子ども会に参加することがとても楽しみだといいます。障害とは足や手が不自由だったりする人たちです。
 はじめ子ども達はこの人たちのことを「お寺にこわい人がくる」と思っていたようです。しかし、キャンプファイヤーで、たがいに手をつないで歌をうたっていると、仲良しになれ、笑顔がこぼれてきます。
 身体に障害があってもなくても、みんなの心のなかには、ほとけ様と同じように「やさしさや思いやりの心」があるのです。ですからたがいを理解(りかい)しようと思えば、理解できるのです。
 そんな心を見つめて育てていくのが、立派(りっぱ)な人になっていく方法です。

 

 時を楽しく過ごすなかで、みんな大切なものを心のなかにつかんで帰っていきます。そう、自分の心の中にあるほとけ様の心と楽しく遊んだのです。
 ですから何度でも、この会に参加する子ども達がいるのだと思っています。

杉田寛仁

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