法話の窓

050 いいじゃないか転んだって......

あけましておめでとう。

 脊髄小脳変性症(せきずいしょうのうへんせいしょう)って病気があるのを知ってますか?この病気の患者は、現在日本に1万人に1人ぐらいいます。この病気になると、小脳の萎縮のために手や足や体全体が動かなくなったり、しゃべれなくなったりします。現在のところこの病気の原因もわからないし、治療法もありません。つまり治らない病気、ということです。

 実際に15歳でこの病気を発症した女の子 木藤亜也(きとうあや)さん・・・1988年、25歳で死去)を主人公にした『1リットルの涙』というテレビドラマや映画がありました。ドラマだと分かっていても、だんだんと歩けなくなったりしゃべれなくなってゆく主人公を見るのはとてもつらい気持ちがしました。

 みんなに紹介したいのは、あやさんがつづった詩です。脊髄小脳変性症の初期の代表的な症状として、体のバランスが取りにくくてとても転びやすい、ということがあります。あやさんは、転んだときの自分の思いを詩にしました。

 

   いいじゃないか転んだって
   また起き上がればいいんだから
   転んだついでに仰向いて
   空を見上げてごらん
   青い空が今日もお前の上に限りなく広がって微笑んでいるのが見えるだろう
   お前は生きているんだ

 

 病気でない人だってたまには転ぶことはあります。また実際に転ばなくても、学校のテストで悪い点をとったりして『転んだような気持ち』になることはよくあります。そんな時『いいじゃないか転んだって また起き上がればいいんだから』って考えることができたら、素晴らしいですね。

 脊髄小脳変性症だけでなく、様々な障害を持った弱い立場の人たちに、手を貸してあげたりやさしい言葉をかけてあげること、そんなことを今年の目標にしてください。

豊岳澄明

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