みなさんは大きくなったら何になりたいですか？総理大臣ですか。Ｆ１パイロットや電車の運転手さん。Ｊリーグやプロ野球の選手、お医者さんや学校の先生。お寿司屋さんや大工さん。それとも、お坊さん！？いろんな将来への夢がありますね。

　和尚さんは「ほとけさま」になりたい！！

ほとけさまになりたいといっても、死んであの世に逝ってしまいたいわけではありません。

　総理大臣やＦ１パイロットや電車の運転手さん。Ｊリーグやプロ野球の選手の人たちも、お医者さんや学校の先生も、お寿司屋さんや大工さんも、そしてお坊さんも、まずはほとけさまにならないと、その道をきわめることができないからです。

　逆に言えば、ほとけさまになれたら、何にでもなれることができるんです。大空を気持ちよく飛ぶ鳥にもなれます。可憐に舞うチョウチョにもなれます。

　魚や犬や、野に咲く花や、空の星や月にもなれるんです。オールマイティーなほとけさまです。すごいと思いませんか。

　みなさんはほとけさまをみたことがありますか。ほとけさまは目には見えません。それは姿がないからです。決まった姿がないから何にでもなれるんです。

　ほとけさまはどこにおられますか。ほとけさまに決まった居場所はありません。だからどこにでもあらわれることができるんです。

　ほとけさまの価値観はどういうものですか。ほとけさまはひとつの価値観に執着されません。自由自在のほとけさまだからこそ、いつでもどこでも生き生きとしていて滅することのない永遠の存在でいられるんです。

　実はみなさんも、そういう自由自在なほとけさまなんですよ。大好きなお友達も大嫌いなお友達もほとけさまなんです。この和尚さんだってほとけさまのはずなのですが、自分とほとけさまは別個なものだと思い込んで、はやくほとけさまになりたいと夢見てしまうのは、まだまだ修行が足らないからです。

　自由自在で、いつでもどこでも生き生きとしていて、滅することのない永遠の存在。

そういうほとけさまが、総理大臣となりＦ１パイロットや電車の運転手さんとなり、Ｊリーグやプロ野球の選手となり、お医者さんや学校の先生。お寿司屋さんや大工さん。それとお坊さんになっているんです。そのことに気づきたい和尚さんの大きな大きな夢の話でした。

足立宜了