法話の窓

043 たからもの

 みなさんのたからもの、大切にしているものってなんですか?

 男の子ならムシキング?女の子ならたまごっち?などなど...いろいろとあると思います。それらはみなさんが大きくなって、年齢が経つとともにいい思い出となっていくものですね。

 でも何物にも代えがたい本当の宝があるのを知っていますか?

 こんな話があります。

 四世紀のころ、南インドにコーシという小さな国があり、国の王さまには三人の王子がありました。

 ある日ハンニャタラというえらいお坊さんがコーシ国を訪れました。ハンニャタラは王さまからいただいた宝の玉を三人の王子を見せ、「この宝に勝る宝がありますか?」と尋ねました。

 一番上と二番目のお兄さんは「ありません」と答えましたが、三人目の王子ボディタラの答えは違っていました。

「ほんとうにりっぱな宝です。でも火事や大水にあうと焼けたり流されたりしてしまうでしょう。...大事にしまっていても泥棒に盗まれるかもしれません。それでは本当の宝ではないと思います。水も火も泥棒もどうすることもできないのが本当の宝だと思います」と。

 これをきいてハンニャタラは驚きました。「そんなりっぱな宝がどこにありますか?」「はい、ここにあります」とボディタラは自分の胸を指しました。そして右手でハンニャタラの胸を指していいました。「先生にもあります」そうです。宝物とは「こころ」のことだったのです。

 ハンニャタラはすっかり感心して「この王子さまこそ世界中の人間の『心』の王さまにおなりになるでしょう」と褒め称えたといいます。また「蔵の中の宝は盗めても、心の中の宝は奪えない」ともお教えになりました。この話は「達磨大師(だるまさん)」の幼少のころの逸話として伝わっています。

 人はみんな「こころ」という宝物を持っています。この宝を良くするも悪くするも皆、その人次第です。しかもその宝はその人ひとりだけのオリジナルです。

そうさ 僕らは 世界に一つだけの花 一人一人違う種を持つ

その花を咲かせることだけに一生懸命になればいい

(世界にひとつだけの花 SMAP)

 是非、自分の中の心を磨いて、かけがえのない宝にしていってください。

都竹隆雄

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