法話の窓

029 反省してますか?

 私が子供の頃の話しです。前の晩夜更かしをして、目がさめるといつも学校に行く時間をとっくに過ぎていました。このままでは絶対に遅刻間違いなし。そこで考えました。「走っていっても間に合わない。そうだ自転車があるじゃないか。」と、自転車に乗って学校に行きました。学校に自転車で行ってはいけないことは知っていましたが、遅刻して怒られるよりましだろうと、自分勝手な考えで行動しました。

 学校へはチャイム寸前でギリギリセーフ。しかし正門で立っていた先生に見つかりこっぴどく怒られました。

 でも私は「遅刻はしていないじゃないですか。」と先生に言いますと、前よりひどく怒られました。

その日の放課後先生に呼ばれました。

 先生は「悪いことをしようと思って悪いことをするのと、悪いことと思わないで悪いことをするのはどちらが悪いことだと思う」と聞かれ、「それは、悪いことをしようと思って悪いことをするほうが悪いに決まっている」と私は答えました。

 先生は「そうかな。どちらも悪いことに違いはないでしょ。今、自分のやっていることが、善いのか悪いのかわからないのも悪いことなんだよ。」と、私に言いました。

 私は、「自分の自転車で行って何が悪いか、遅刻しなかったから良かったじゃないか。」と思っていましたが、自分の都合だけしか考えてなかったのです。もし先生に見つかってなかったら次の日も、もう少し寝られると思い、また同じことを繰り返したかもしれませんし、友達もマネして自転車で来たかもしれません。

 人にバレなかったから善かったのではなく、自分の行動は自分が一番よくわかっているはずです。皆さんも自分勝手な行動で誰かに迷惑をかけていませんか。

 皆さんも自分の一日の行動を寝る前に思い出してみてください。あの時はなぜあんなことをしたのかな。なぜ出来なかったのかな。その結果どうなったのかな。そしてどういうことが起こったのかなと、じっくり考えてみましょう。

 仏教の中に「正見」という教えがあります。正しく見るという教えですが、これはただ見ると言うだけではなく、正しく考え、正しく知るという意味もあります。

 私達は何が正しくて、何がいけなかったのか、正しく自分を見る眼を持ちたいものです。また、色々なことをじっくり見る、考える、知る習慣をつけるように日々生活していきましょう。

 ちなみに今の私は子供の頃と違い約束の時間に遅れないように五分前行動を心がけています。たまには遅れることもあるけどね。

 ごめんなさい。

入不二香道

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