法話の窓

008 ありがとうの大切さ

 皆さんは、「ありがとう」を言えていますか?皆さんのために、毎日ご飯を作ってくれているお母さんに。毎日働いてくれているお父さんに。優しくしてくれたお友達に。

 私たちの暮らしの中には、いろいろな場面で、「ありがとう」を言う機会があります。でも、どこか恥ずかしかったり、照れくさかったりで、なかなか素直に言えていないのではないでしょうか。

 この地球上で、言葉を自由に使えるのは、私たち人間だけです。もっとも、動物たちの間にも、その動物にしかわからない言葉があるのかもしれませんが、それでも、これだけ色々な感情を表現し、複雑な言葉を使えるのは、人間だけでしょう。

 その、いろいろな言葉の中で、「ありがとう」という言葉は、相手に感謝の気持ちを伝える、もっともすばらしい言葉の一つだと思います。「ありがとう」の言葉を掛けられると、言われた方は、「してあげて良かった。またしてあげよう。」という気持ちがわいてきます。そして、言われた方だけではなく、「ありがとう」を言った方にも、その胸の中に、小さな灯かりがポッと灯り、心がポカポカしてくるのです。そして、言った方も言われた方も、他の人にもまた「ありがとう」を伝えたくなるのです。

 仏さまの教えでは、この「ありがとう」のような言葉を、「愛語」と言います。相手をいつくしみ、いたわる言葉、という意味です。

 現代の日本は、言葉が乱れていると言われます。耳をふさぐような汚い言葉を使ったり、妙に縮めた言葉を使ってみたり。言葉は日々進化し、変化するものですから、それはそれでいいのかもしれませんが、そんな言葉があふれかえっているのを耳にすると、やはり、さみしい気分になります。

 どんな小さなことにでも「ありがとう」がスッと出てくる世の中であれば、私たちはそんなさみしい思いをせず、楽しく軽やかな気分で毎日を過ごせるのではないでしょうか。

 

木村浩章

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