法話の窓

006 優しい心の目覚め

 私が子供の頃、町のお祭りで「青いヒヨコ」を買ってもらいました。ヒヨコは普通黄色ですが、そのお店には、赤や青など色々な色のついたヒヨコを売っていました。私はどうしても「青いヒヨコ」が、青いニワトリになるのが見たくて買ってもらいました。その時の約束が、ヒヨコの親になって毎日誰にも頼らずに自分で餌や水をあげる事でした。

 ある日、朝寝坊をしてヒヨコに餌をあげずに学校へ行きました。「一日くらい餌をあげなくても大丈夫だろう。」と言う自分勝手な思いからです。その日学校から帰って叱られました。「ヒヨコは言葉がしゃべれない。お前だったらどうだろう。きっと文句をいうだろうな。」

 ヒヨコは私たちと話は出来ません。他の動物や虫、草花も話は出来ません。話は出来ませんが、私たちと同じように一生懸命に生きています。私たちは一生懸命に生きている動物や虫、草花をどうしているでしょうか。自分の思い通りにならないからと、たたいたり、きれいな花だといって必要以上にむしっていませんか。私たちの身勝手な行動は生き物にしてみれば、大切な命にかかわることなのです。他の生き物の声が聞こえる心の耳を持ちたいものです。

 このようなことが生活の中にもありませんか。年上の人が年下の人に思い切り強いボールを投げると怖くて取れないでしょ。そのようなことをしていじめたり、からかったりしたことはありませんか。いじめられている人にとっては怖くて何も言えません。

 自分にとって都合のよいことや、楽しいこと、ふざけ半分でしていることも、他の人にとってはとてもいやなことであったり、やめてほしいと思っていることもあります。相手の人や他の物の気持ちになって考えてあげる優しい心で接してほしいものです。

 広くて、優しい心は人間は平等に授かっています。仏教では、その優しい心を「仏心」といいます。その仏心に気づき、これからの生活に充分発揮してください。

 ちなみに「青いヒヨコ」は、数日で黄色いヒヨコになり、立派なニワトリになりました。

入不二香道

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