法話の窓

005 生かされている

 地球と太陽とのあいだの距離がどのくらいか知っていますか?

 1億5000万キロメートルです。いったいどのくらいの距離でしょうか。

 秒速30万キロの光でも太陽から地球に到達(とうたつ)するまで500秒かかります。一分が60秒ですから8分20秒。つまり太陽が東の空に昇ってから、地球上にいる私達が朝日が昇った、と見るまでに8分20秒かかるのです。

 かりに時速200キロの新幹線でノンストップで太陽まで行くとすると、約90年かかります。もし歩いて行くとすると、休まず歩きとおしたとして、約5000年です。ともかく地球と太陽とはすごく離れています。

 でも、大切なのは『すごく離れている』ということではなくて、地球と太陽との距離は、ものすごく離れているにもかかわらず『絶妙(ぜつみょう)なんだ』ということです。

 もし、この距離が実際よりも少しでも近すぎたなら、地球の表面は摂氏何百度にもなります。私たちは燃え尽きて、溶けてしまうかもしれません。反対に今よりもっと遠いならば、地球はとても冷たい星になってしまいます。水は一瞬で氷になってしまうでしょう。

 いずれにしても空気も水も存在しない地球であったはずで、とても生物が住める環境ではありません。我々の住む今の地球は『奇跡の星』なのです。 
地球と太陽との絶妙の距離の上に、我々のこの命が保たれているのです。我々の命はものすごい奇跡の上にある、といえます。考えてみれば『おかげさま』なことです。

 本山・妙心寺の示す生活信条の第3、『生かされている自分を感謝し、報恩(ほうおん...恩にむくいること)の行を積みましょう』の言葉はとても大切な言葉です。いつもいつもお日様が私たちを生かしてくれているのを忘れないようにしたいものです。

豊岳澄明

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