法話の窓

大安寺掲示伝道より

 

 拙寺の掲示伝道には十数年来に渡り花園会のカレンダー「花園の心」等の墨跡を掲示するとともに、感想とも解釈とも言えそうな、なるべく読みやすい言葉による七五調四行詩での説明を添えております。

「寿山万丈高」(平成28年1月)

 日々の勤めを 励みつつ
 生きたる証(あかし)今此処に
 聳ゆる如く 揺るぎなき
 豊かな心 福禄寿


「君たち何してるんだい 云々(誘三猿図)」(平成28年2月)

 見ざる聞かざる 言わざるは
 我が浄らかさ 護る道
 良き師と友に 誘(いざな)われ
 歩み出(い)ずれば 幸(さち)多し


「春風吹又生」(平成28年3月)

 風は梢に 吹きすさび
 雪は野山を 覆えども
 季節が廻り 移ろえば
 力むことなく 芽は萌える


「幽鳥弄真如」(平成28年4月)

 樹々のみどりや 鳥の声
 それぞれにある 麗しさ
 計らいの無い その中に
 天地自然の 恩を知る


「能為万象主 逐四時不凋」(平成28年5月)

 天地自然の ことわりと
 人の為すべき 道歩み
 報恩感謝の 暮らしなら
 迷いわずらう 事は無い


「青山不動」(平成28年6月)

 春夏秋冬 それぞれに
 変わる眺めは 仮のもの
 真の姿に 変わりなし
 人の心も 斯くあらむ


「聴涛」(平成28年7月)

 四季折々に 打ち寄せて
 止むことの無き 涛(なみ)の音
 ただひたすらに 聴くうちに
 いつかこころも 洗われる


「風吹南岸柳」(平成28年8月)

 北風(ならい)東風(こち)南風(はえ) そして西風(にし)
 違いは人の 呼び名にて
 岸辺に繁る 草や木は
 ただゆらゆらと 揺れている

「風吹不動天辺月」(平成28年9月)
 
 喜び怒り 哀しみも
 楽しみ悩み 恨みさえ
 所詮うわべに かかる雲
 心の月は ゆらぎ無し


「閑中日月長」(平成28年10月)

 喜怒哀楽に 急(せ)かされず
 稔りの秋を 味わえば
 時の流れも 夢の中(うち)
 心は閑(しず)かに 充たされる


「紅葉舞碧空」(平成28年11月)

 白雲浮かぶ 碧空(あおぞら)に
 光を浴びて 紅葉(もみじば)が
 風に舞い散る 輝きは
 ことばを超えし 鮮やかさ


「無尽蔵」(平成28年12月)
 
 あれもこれもと 積みこんで
 ゆとりが無いと 思うなら
 無理(むり)・無駄(むだ)・斑(むら)を 大掃除
 捨てれば入る いくらでも

奥村宗侃

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