法話の窓

「ウソかマコトか」

「損か得か、人間のものさし、ウソかマコトか、仏様のものさし」という言葉があります。とかく私たちは物事を考えて判断する時、損得で行動していないでしょうか。
あの人と付き合うと損するとか、あちらの店の方がものが安くて得だよねとか、ごく普通の判断基準で使うことは多いですね。お坊さんだって一緒です。損になるような行動はできるだけしたくありません。

一方、仏様のもの指しは、ウソかマコトかなのです。これは行動というより、考え方のことだと思われます。誰かを騙そうという人は、常に心の中でどういう風にウソをつこうかと考えています。欲しい物を買う時、それが高価な物だったりすると、ちょっと値段を安く言って奥さんを納得させるとか、時々私もやります。小さなウソは後でばれても叱られるくらいで済みますね。でも、仏様のもの指しでは、やはりマコトの心で生きなさいという、正しい心使いをしなさいと言います。

世界中にコロナ感染が広がり、今も収束していませんが、そんな中でウクライナでの戦争が始まってしまいました。テレビや新聞、あらゆるメディアで報道していますので、誰もが心を痛めています。妙心寺派でもホームページで談話を出して戦争反対を表明しています。一部の寺院では平和を願う鐘を撞いています。
そんな中、ロシア国内の報道と、ウクライナや「西側」と言われる国々の報道は全く別のニュースになっていますね。どちらがウソでどちらがマコトでしょうか。
事実は、ウクライナ国内では両国の兵隊さんも市民も、女性も子供達も、お年寄りも、毎日誰かが人間の作った兵器や武器で死んでいるということです。世の中を自分の損得で、欲でもぎ取ろうというもの指しは、どんな結果が待つのでしょう。いくらウソをついても、マコトは見逃しません。仏様が悲しそうに現世をながめておられる気がします。

柳樂一学

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