法話の窓
[ 2017年05月 今月の法話 ]

子供の日

 myoshin1705b.jpg爽やかな風薫る5月。カレンダーには休日を示す赤い文字が並びます。子供の頃はなぜかウキウキした気持ちになった気がします。特に5月5日の子供の日は特別です。私の地元では、近くを流れる河原にロープが張られ、沢山の鯉のぼり達が気持ちよさそうに風の中を泳ぎ、公園では花まつりが開かれます。花まつりはお釈迦様の誕生を祝う仏事で、4月8日に行なう地域や、月遅れの5月に行なう地域もあるようです。

 お釈迦様のご誕生には様々な逸話が伝わっています。お釈迦様は今から2500年ほど前に、インド北部のルンビニーの花園でお生まれになりました。天の龍王はお釈迦様のご誕生を祝して甘露の雨を降らせて、そのお体を清められたと伝えられています。そして経典では、お生まれになったお釈迦様はすぐに東西南北の四方に七歩ずつ歩いて、右手で天を指し、左手で地を指し、「天上天下唯我独尊」と仰ったと伝えています。
 「天上天下唯我独尊」とは、「天にも地にも我ひとり尊し」という意味になりますが、この世で自分だけが尊いのだといった意味合いに誤解されることもしばしばあるようです。この「我」とはお釈迦様の事であり、私の事であり、あなたの事です。つまり、生きとし生けるもの全てがそれぞれに大切なかけがえのない命をいただいているという事です。誰しもがお釈迦様と同じ仏の心、仏心をいただいて生まれるのです。

  雲晴れて後の光と思うなよ
       もとより空に有明の月

 この古歌にあるように、私たちは誰もが尊い仏心をいただいて生まれながら、大人になるにつれ知らず知らずのうちに、煩悩や妄想の雲に覆われてしまい、仏心を見失ってしまいがちです。しかし、その雲を払ってしまえばそこには変わらずに仏心があると気づくはずです。
 
 子供の日は、子供だけのものではありません。誰しもがかつては子供でした。お釈迦様から観れば、おじいさんもおばあさんも、お父さんもお母さんも、誰しもがかわいい我が子であると仰るはずです。
 子供の日には、いつしか心にかかった雲を払いのけ、それぞれがいただいた有り難い仏心に感謝をし、清々しい5月の風の中、雲一つない青空を泳ぐ鯉のぼりのように、生きていきたいものです。

戸崎祥之