
私達の住んでいる地球の表面の70%は海であります。人工衛星から見る紺碧の美しい地球はこの青い海です。極楽浄土とはこの美しい地球のことです。海は水によって出来ております。地球が水の惑星と言われる理由です。
現在、地球上には無数と言われる多くの生物が生息しておりますが、その発生の起源はこの海であります。陸上に棲むあらゆる生物はこの海から発生し、陸上に上がって進化したものです。
私達人類をはじめとして動物・鳥類・昆虫・植物・水中の魚・微生物にいたるまですべて水によって支えられ、水なくして生きられません。水は万物の生命(いのち)の源であります。この水を甘露の浄水として大切にすることを教えているのが仏さまの教えであります。
明治時代、京都嵯峨の天龍寺に滴水禅師(てきすいぜんじ)という偉いお坊さんがおられました。若き日、岡山の曹源寺で修行しておられました。ある日、お掃除の桶の底に残っていた余り水を不用意に心無く捨ててしまいました。それを見たお師匠さまの儀山禅師はきびしく注意し、一滴の水をも粗末にすること勿れ、大切に使う心を教えました。
禅師はこのことを深く反省し、心に銘じて自分の仏弟子の名称を『滴水』としました。そうして生涯一滴の水をもおろそかにしませんでした。この水を大切にする心こそ、現在叫ばれている資源を大切にする心の手本です。
仏さまの教えでは人間の身体を構成している四つの要素四大の地(骨)、水(内蔵・血液)、火(体温)、風(肺の空気・精神作用)の一つとして水は重要な要素であります。体液は身体の64%と言われます。健康な身体は浄らかな水と食物によって支えられております。
不知不識の内に不注意に水を汚染し、河川を海洋を、大地を汚染する公害は、人間の身体を害するだけでなく地球上の生命体の生態系に危機をもたらすものであります。
水の汚染はいのちあるものの「危険な赤信号」であります。
広大な洋々たる海洋、美しい風景をはじめ近代生活を支えている産業、工業水、お米やお野菜をつくる田畑の灌漑、飲料、洗浄と私達の生活に無くてはならないもの、欠くことの出来ない「お水」の無限の恩恵に心から「ありがとう」「おかげさま」と感謝しましょう。無駄遣いは「もったいない」と反省しましょう。
近代文明の廃棄物、公害、汚染から「お水」を守り、お水を大自然の恩恵、甘露の慈雨として享受することが人類をはじめとして生きとし生けるものの生きて行く最も大切な生存の道であることを心に刻みましょう。
仏さまの心「同事」と言いますのは、自にも不違なり、他にも不違なり。自他を差別せず一切を仏の子として抱擁する大いなる心を言います。
大海がすべての河川の水を取捨選択せず自然に受容するように、すべての人々を抱擁する大いなる心が「同事」であります。
水の性は一切の生命体に生きる活力を施しております。この生きる活力こそ、仏さまの智慧(働き)であり慈悲心(恵み)であります。
すべてのいのちのもと
きよらかな めぐみの水
いのちかけて
大切にしましょう
「お水」さま ありがとう
合 掌
尾関 義昭